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少子化について思うこと~いち助産師として

日本の少子化の進みが想定よりも早く、かなり深刻です。

別に戦争中のように「産め、育てろ」的なことを言うつもりは全くありません。

私はいま、メインで婦人科に関わっています。若い女性と話をした時に「産みたくない」という人は本当に少なくて、「できれば産みたい」という人がほとんど。

でも、産む機会がないまま、年齢が刻々と過ぎていっているという感じがします。

いざ、妊娠しようと思った時には40歳目前。妊孕性が下がっていて、不妊治療のお世話になる人が少なくありません。


いまの首相は「異次元の少子化対策」といいましたが、何か進んでいるのか全く現場には伝わってきません。子育ての現役ママさんたちに聞いても、「??」何も感じるところはないようです。子どもを産んだ人に恩恵を授けても、産まない人が増えているいま、やるべきことはもっと沢山あるように思います。

私は助産師です。子どもが生まれる最前線にいるといっても過言ではありません。だって、妊娠する前の女性に関わり、出産するまで密に関わる存在だからです。

でも、残念ながら、同職種の方に「少子化対策」を積極的にやらねばという意識をもっている人があまりにも少ないことに驚きます。地方では産婦人科の閉院が相次いでいます。「子ども少ないから仕方ないようね~」というのが合言葉。

産みたい人はいるけれど、産む気にならないこの社会をどうにかするために、助産師がいま何かすべきではないかと私は考えています。

まず一人の助産師としてできること、として私が考えたのは、初めて子どもを産む人がいい経験を重ねることで、「妊娠、出産、子育てっていいもんだなぁ」と思えること。それが大事だと考えています。お腹の中に子どもがいる時って、妊婦さん自身も自分が自分でないような。神秘的な経験をします。そんな輝かしい時を、みんなでサポートして不安なく楽しく充実した時期を過ごせたら、「もう一度経験したい」と思うかもしれない。


子どもを1人しか生まない人が減るだけで、相当な数の出産が増えます。


産みたいなと思う女性がなぜ産まないか、産めないかをもう少し深堀すべきだと考えています。政府の統計では「お金の問題」が絶対的に上位になっています。女性と多く接している自分が思うのは、「お金の問題」もあるけど、それではないと思います。


子どもを産むと、とたんに今の生活が続けられなくなる女性が多くいること、見えない社会的な制裁が多く存在することをもっと顕在化すべきだと思います。

子どものいる男性が、子どもがいるから飲み会キャンセル、夜出かけられない、友達と会えないという人、少ないでしょ。子どもを妻に預けてから出かけないといけないっていう男性聞いたことありません。

子育て中の女性は、夫に子どもを預けてくるという言葉を使います。ベビーシッターじゃないんだから、夫に預けるって言葉、ナシにしたいです。女性も男性と同じ頻度で、「お願い」しなくても、自分の出かけたい時に、男性と同じく「じゃ、行ってくるから」と出かけられる世の中でなければ、ストレスの緩和もできません。「夫に預けると心配だから」という言葉を今でもしょっちゅう聞くのはすごく悲しいなと思います。


全然男女は平等ではありません。

給与の格差はいうまでもなく、非正規雇用が多いのも事実。女性が男性と同じく稼いでいたら、シングルマザーのまま子どもを産む選択だってできるかもしれない。シングルでも産める環境の整備も大事。シングルマザーが不幸の代名詞のようになっているのはおかしい。選択肢の一つとしてあってもいいし、社会で支える仕組みがあってもいい。


LGBTの家族の問題も全く解決していません。

男女の関係で、婚姻関係を結んで、はじめてフルで社会保障が得られるという今の制度。その環境下で子どもを産むという選択肢以外、ほとんどない。

自由度がないから、社会に閉塞感を感じて産まないということも可能性としてあるのかもしれない。


誰でも子どもをほしいと思った人が、安心して、健康な子どもを産み、育てること、それが人の権利として与えられない社会はおかしいと思います。


日本はこのまま閉鎖的な考え方を維持する限り、発展は望めないような気がしています。


良妻賢母的な考えがお好きな世代の男性も女性も、名誉職から退いてほしいと思います。


それに、少子化について、私の所属する職能団体が全く動く気配がないので、早く動いてほしいと思っています。


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